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複利とは?積立投資で資産を増やす仕組みをわかりやすく解説

複利を「世界第八の不思議」と呼んだのはアインシュタインだ——という逸話が広く知られていますが、実は出典が確認されていない話です。ただ、その言葉が繰り返し引用されるだけの効果があるのも事実。単利との違いを具体的な数字で追いかけながら、長期の資産形成でなぜ複利が効くのかを解説します。

2026-04-05 公開 ・ 2026-09-11 更新 ・ 執筆: りゅう

結論から

数字で先に押さえておきたいポイントです(元本100万円・年利5%・年1回複利)。

  • 複利は利息にも利息がつく仕組み。単利との差は10年で約13万円、30年で約182万円
  • 効き方は直線ではなく後半ほど加速する。だから期間が最大の変数になる
  • 2倍になる年数は72 ÷ 年利(%)でおおよそ計算できる
  • 年利5%は保証された数字ではない。元本割れの可能性がある
  • 実際の手取りは税金・手数料・インフレの分だけ目減りする

単利と複利の違い

単利とは、最初に預けた元本に対してのみ利息が発生する仕組みです。たとえば100万円を年利5%の単利で運用すると、毎年5万円の利息が発生し、10年後には元本100万円+利息50万円=150万円になります。利息は毎年5万円で固定なので、資産は直線的に増えていきます。

複利とは、元本だけでなく、発生した利息にも利息がつく仕組みです。同じ100万円を年利5%の複利で運用すると、1年後は105万円、2年後は105万円×1.05=110.25万円…となり、利息を計算する土台そのものが毎年大きくなっていくのが単利との決定的な違いです。

元本100万円・年利5%で運用したときの、単利と複利の差の推移
経過年数単利複利(年1回)差額
5年後125万円127.6万円+2.6万円
10年後150万円162.9万円+12.9万円
20年後200万円265.3万円+65.3万円
30年後250万円432.2万円+182.2万円

注目したいのは差額の伸び方です。10年で約13万円だった差が、30年では約182万円。期間は3倍にしかなっていないのに、差は14倍に広がっています。複利の効果は年数に比例するのではなく、年数が延びるほど加速します。

この「後半で加速する」という性質が、複利をめぐる話のほぼすべての土台です。次の章以降で出てくる「早く始めるほど有利」「途中でやめると損」という話も、結局はこの1点から導かれます。

72の法則:資産が2倍になる年数を暗算する方法

「72の法則」とは、元本が2倍になるまでの年数を概算する方法です。計算式は非常にシンプルです。

2倍になる年数 ≈ 72 ÷ 年利(%)

年利3%なら約24年、年利6%なら約12年、年利9%なら約8年で元本が2倍になる計算です。逆に、普通預金の金利が年0.1%だとすると72÷0.1=720年かかる計算になり、預金では資産が増えないことが一目でわかります。

この法則が便利なのは、利回りと時間を同じ土俵で比べられる点です。「年利2%で36年」と「年利6%で12年」は同じ結果になる、という具合に、利回りを3倍にすることと期間を3分の1に縮めることが等価だと直感的に理解できます。

ただしこれはあくまで近似です。利回りが極端に低い、あるいは極端に高い領域ではずれが目立ってきます。正確な年数が必要なときは複利計算ツールで実際に計算してください。

毎月の積立でも複利は働く

まとまった元本がなくても、毎月一定額を積み立てれば複利は働きます。違いは、毎月追加されるお金それぞれが運用される期間が異なる点です。最初の月に入れた3万円は30年間運用されますが、最後の月に入れた3万円はほとんど運用されません。

毎月3万円を年利5%で積み立てた場合の、元本と運用益の内訳
積立期間積立元本評価額運用益
10年360万円466万円106万円(元本の29%)
20年720万円1,233万円513万円(元本の71%)
30年1,080万円2,497万円1,417万円(元本の131%)

30年間積み立てると、自分が実際に出したお金よりも運用による増加分のほうが多くなります。一方、10年の時点では運用益は元本の3割弱にとどまります。積立投資の手応えが出るまでには時間がかかる——これは欠点ではなく、複利の性質からくる当然の結果です。始めて数年で「思ったより増えない」と感じるのは正常だと知っておくと、途中でやめずに済みます。

「早く始める」が効く理由を数字で見る

複利の話でよく出る「一日でも早く始めたほうがいい」という助言は、精神論ではなく計算から出てきます。毎月3万円・年利5%という条件を固定し、始める年齢だけを変えて60歳時点を比べたのが次の表です。

毎月3万円・年利5%で60歳まで積み立てた場合の、開始年齢別の結果
開始年齢積立期間積立元本60歳時点
25歳から35年1,260万円3,408万円
30歳から30年1,080万円2,497万円
35歳から25年900万円1,787万円
40歳から20年720万円1,233万円
45歳から15年540万円802万円

30歳開始と35歳開始を比べると、追加で出した元本の差は180万円(月3万円×5年)しかありません。それなのに60歳時点の差はそれをはるかに上回ります。遅く始めるということは、複利の伸びが最も大きい「後半の期間」を削ることだからです。

逆に言えば、金額の大きさより期間の長さのほうが効きやすいということでもあります。少額でも早く始めて長く続けるほうが、大きな金額を短期間に入れるより有利になる場面は多くあります。

複利を活かすための実践ポイント

複利の効果を最大化するためには、次の3つが重要です。いずれも「運用される期間を長く保つ」という一点につながっています。

  • なるべく早く始める

    複利は時間が長いほど効果を発揮します。上の表のとおり、同じ積立額でも開始が5年違うだけで60歳時点の資産に大きな差が生まれます。迷っている期間そのものがコストになります。

  • 利益を再投資する

    得た利益(配当・分配金)を使ってしまうと、そのぶん次の年に働く元本が減り、複利効果が消えます。分配金を自動で再投資する設定にしておくか、分配金を出さないタイプの投資信託を選ぶのが一般的な対応です。

  • 長期間続ける

    途中で解約すると、複利の伸びが最も大きい後半の期間を失います。生活費や近い将来に使う予定のお金とは分け、「当面使わないお金」で積み立てることが前提です。

インフレと複利の関係

複利を考える上で見落とされがちなのがインフレ(物価上昇)の影響です。金額が増えても、同じ金額で買えるものが減っていれば、豊かになったとは言えません。名目の金額から物価上昇分を割り引いたものが実質的な価値です。

元本100万円を年利5%で30年運用したときの、想定インフレ率別の実質的な価値
想定インフレ率30年後の名目額実質的な価値実質利回りの目安
年0%432.2万円432.2万円約5%
年1%432.2万円320.7万円約4%
年2%432.2万円238.6万円約3%
年3%432.2万円178.1万円約2%

年2%のインフレが30年続いたとすると、名目では432.2万円でも、購買力としては238.6万円程度の価値になります。それでも元本100万円は大きく上回っており、インフレ率を上回る利回りで運用できていれば実質的にも資産は増えるということです。

問題になるのは逆のケースです。金利がインフレ率を下回っている状態で現金や預金のまま置いておくと、金額は減らなくても実質的な価値は目減りします。「何もしないことにもリスクがある」と言われるのは、この意味においてです。

複利計算が見落としている3つのこと

ここまでの計算はすべて「毎年きっちり同じ利回りで増える」という理想化された前提に立っています。実際の運用と突き合わせるときは、次の3点を差し引いて考える必要があります。

  • 利回りは一定ではない:年利5%は長期平均の想定値であり、実際には大きくプラスの年もマイナスの年もあります。同じ平均利回りでも、値動きの順番によって最終額は変わります。
  • 税金がかかる:課税口座では運用益に対して約20.315%の税金がかかります。NISAのような非課税制度を使う場合は、この差がそのまま手取りの差になります。
  • 手数料がかかる:投資信託には信託報酬などの保有コストが毎年かかります。年0.5%のコストは、年利5%の想定を実質4.5%に引き下げるのと同じ意味を持ちます。

つまり、シミュレーションの数字はそのまま受け取るのではなく、想定利回りを少し保守的に置いて計算するのが現実的な使い方です。複利計算は将来を予言する道具ではなく、条件を変えたときに何がどれだけ効くかを比べるための道具だと考えてください。

よくある質問

単利と複利で、実際どれくらい差がつきますか?

元本100万円を年利5%で運用した場合、10年後は単利150万円に対して複利162.9万円で、差は約13万円です。ところが30年後は単利250万円に対して複利432.2万円となり、差は約182万円まで開きます。期間が2倍でも差は14倍になるのが複利の特徴です。

72の法則とは何ですか?

「資産が2倍になるまでのおおよその年数=72÷年利(%)」という暗算用の近似です。年利3%なら約24年、年利6%なら約12年、年利9%なら約8年が目安になります。あくまで近似なので、利回りが極端に低い場合や高い場合はずれが大きくなります。

毎月3万円を積み立てると、いつ運用益が元本を上回りますか?

年利5%で計算すると、30年積み立てた時点で元本1,080万円に対して運用益が1,417万円となり、自分が出した金額より運用による増加分のほうが大きくなります。20年の時点では元本720万円に対して運用益513万円で、まだ元本のほうが大きい状態です。ただしこれは利回りが一定だった場合の計算で、実際の運用成績は年によって変動します。

5年遅く始めると、どのくらい不利になりますか?

毎月3万円・年利5%で60歳まで積み立てる場合、30歳スタートなら2,497万円、35歳スタートなら1,787万円という計算になります。追加で出した元本は180万円の差なのに、最終額では大きな差になります。複利は「後半ほど伸びが大きい」ため、削られるのが最も効率のよい後半の期間だからです。

年利5%というのは保証された利回りですか?

いいえ、保証ではありません。投資信託や株式の運用では元本割れの可能性があり、5%はあくまで長期平均を想定した仮定の数字です。実際の運用では、年によって大きくプラスになる年もマイナスになる年もあります。複利の計算は「毎年きっちり5%増える」前提の単純化であり、将来の成果を約束するものではない点を理解して使ってください。

税金や手数料は複利の計算に含まれていますか?

この記事の計算には含まれていません。課税口座では運用益に対して約20.315%の税金がかかり、投資信託には信託報酬などの保有コストが毎年かかります。手取りの利回りは表示上の利回りより低くなるため、実際のシミュレーションでは想定利回りを少し保守的に置くか、コストを差し引いた利回りで計算するのが現実的です。

インフレを考えると複利の効果はどう変わりますか?

物価が上がると同じ金額で買えるものが減るため、名目の金額だけを見ると実力を過大評価してしまいます。元本100万円を年利5%で30年運用した場合、名目では432.2万円ですが、年2%のインフレが続いたとすると実質的な価値は238.6万円相当です。実質の利回りは「名目利回り − インフレ率」でおおよそ把握できます。

複利効果を消してしまう行動は何ですか?

受け取った配当・分配金を使ってしまうこと、途中で解約して運用期間を短くすること、そして高いコストの商品を選ぶことの3つです。特に途中解約は、複利の伸びが大きくなる後半の期間を丸ごと失うことになるため影響が大きくなります。生活費とは切り離した資金で、長く置いておける形にすることが前提になります。

参考資料

免責事項

本記事は複利という仕組みの解説を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではなく、投資助言でもありません。記事中の金額はすべて「利回りが毎年一定である」という仮定に基づく試算で、税金・手数料は含んでいません。実際の投資には元本割れの可能性があり、将来の運用成果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行い、必要に応じて金融機関や専門家にご相談ください。

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