なぜ読書感想文は難しく感じるのか
読書感想文が難しいと感じる最大の理由は、「感想を自由に書きなさい」と言われても、何をどの順番で書けばいいのかが示されないことにあります。作文用紙を前にして手が止まるのは、書く力がないからではなく「設計図」がないからです。
逆に言えば、先に構成(型)を決めてしまえば、あとはブロックを埋めていくだけで一本の感想文が完成します。この記事では、そのまま使える4部構成の型と、学年別の字数の目安、書き出しの例文を用意しました。本を読み終わったら、まずこの型に沿ってメモを取ることから始めてください。
読書感想文の基本の型(王道4部構成)
読書感想文は、次の4つのブロックに分けて考えると書きやすくなります。それぞれのブロックで「何を書くか」が決まっているので、順番に埋めていきましょう。
① はじめ(きっかけ・全体の3割弱)
なぜこの本を選んだのか、読む前にどんな印象を持っていたのかを書く。「表紙の絵が気になった」「題名に惹かれた」「家族にすすめられた」など素直な動機でよい。ここで読み手を引き込む。
② なか①(心に残った場面)
いちばん印象に残った場面を1つか2つに絞って取り上げる。「どのページの、どんな出来事か」を短く紹介し、そのとき自分がどう感じたかを書く。あらすじの丸写しにしないことがポイント。
③ なか②(自分の体験・考えとの重ね合わせ)
その場面を、自分の経験や身のまわりの出来事と結びつける。「自分も似たことがあった」「もし自分が主人公だったらどうするか」を書くと、感想文にぐっと深みが出る。ここが評価される中心部分。
④ まとめ(学び・これから)
本を読んで気づいたこと、考えが変わったこと、これからどうしたいかを書いて締めくくる。最初に書いた「読む前の印象」と比べると、変化が伝わりやすい。
この4ブロックのうち、「なか②(自分の体験・考え)」がいちばん重要です。あらすじや場面紹介は誰が書いても似た内容になりますが、あなた自身の体験や考えはあなたにしか書けません。字数の配分も、ここを厚くするイメージで組み立てましょう。
学年別の字数・原稿用紙枚数の早見表
「青少年読書感想文全国コンクール」の応募規定では、学年ごとに字数の上限が決まっています。以下は同コンクールの募集要項に基づく目安です(400字詰め原稿用紙で換算)。
出典は青少年読書感想文全国コンクール(全国学校図書館協議会・毎日新聞社主催)の応募要項です。学校の宿題として提出する場合は、担任の先生や学校ごとに「◯枚以上◯枚以内」といった別の指定があることも多いので、まずは学校からの案内を確認してください。指定がない場合は上の目安を参考にするとよいでしょう。
なお、字数は「上限ぎりぎりまで書けば高評価」というものではありません。空白の多い薄い内容で枚数だけ埋めるより、指定枚数の8割以上をしっかり中身のある文章で埋めることを目標にしましょう。
書き出しのコツと例文(3パターン)
最初の一文が決まらず止まってしまう人は多いはず。「この本を読んで、私は◯◯と思いました」という平凡な出だしを避けるだけで、ぐっと印象が良くなります。使いやすい3つの型を紹介します。
場面から始める
印象的な一場面をいきなり描写して始める型。読み手を物語に引き込める。例:「主人公が夜の海にひとりで飛び込む場面で、私は思わず息を止めた。」
問いかけから始める
本のテーマにつながる問いを投げかける型。自分ごととして読ませられる。例:「もし友だちに嘘をつかれたら、あなたは許せますか。私はこの本を読んで、初めて真剣に考えた。」
セリフから始める
作中の心に残ったセリフを引用して始める型。そのセリフに惹かれた理由へ自然につなげられる。例:「『大丈夫、きみは一人じゃない』——この言葉が、読み終えた今も頭から離れない。」
どの型でも共通するのは、「読み手が続きを読みたくなる」入り口をつくるということ。書き出しに悩んだら、まず本文の「なか」を書いてしまい、最後に一番印象的な部分から書き出しを作るのも有効です。
「あらすじばかりになる」失敗の回避法
読書感想文で最も多い失敗が、本のあらすじを最初から最後まで書いてしまい、感想がほとんど入らないというものです。あらすじは物語の説明であって、あなたの「感想」ではありません。
対策はシンプルで、あらすじは全体の2〜3割までと決めてしまうことです。残りの7割以上を、自分が感じたこと・考えたこと・自分の体験との重なりで埋めます。あらすじは「どの場面について話しているか」が読み手に伝わる最小限でかまいません。
- 場面を1〜2個に絞る:全部を紹介せず、心が動いた場面だけを取り上げる
- 「なぜ?」を自分に問う:その場面でなぜ心が動いたのかを掘り下げると感想になる
- 自分の言葉で語る:「私は」「自分だったら」を主語にした文を増やす
書きやすくなる本選びのヒント
感想文の出来は、実は本選びの段階で半分決まっています。書くことがたくさん見つかる本には共通点があります。
自分の体験と重なる本
部活・友だち関係・家族・引っ越しなど、自分が経験したテーマの本は「自分だったら」を書きやすい。感想が自然にあふれてくる。
感情が大きく動いた本
読んでいて泣いた・怒った・驚いた本は、その感情の理由を書くだけで立派な感想になる。心が動かない本は書くのが難しい。
主人公に共感できる本
年齢や立場が近い主人公だと、行動の意味を自分に引き寄せて考えやすい。同世代が主人公の物語がおすすめ。
読み切れる長さの本
分厚すぎて締め切りに間に合わないと本末転倒。まず最後まで読める分量かを確認する。
コンクールに応募する場合は「課題図書」から選ぶ方法もあります。ただし宿題として書くだけなら、自分が本当に読みたい・心が動いた本を選ぶほうが、結果的に良い感想文になります。
書き終わったあとの見直しチェックリスト
書き上げたら、提出前に必ず読み返しましょう。次の項目を上から順にチェックすると、うっかりミスや減点を防げます。
- 誤字・脱字:漢字の間違い、送りがな、書き忘れがないか
- 原稿用紙のルール:段落の最初は1マス空ける/句読点やかっこは1マスに書く/行頭に句読点を置かない
- 題名・氏名・学年:指定された位置に正しく書けているか
- 文末の統一:「です・ます」か「だ・である」のどちらかに揃っているか
- あらすじの分量:あらすじが全体の3割を超えていないか
- 一貫性:はじめに書いた印象と、まとめの内容がつながっているか
- 字数・枚数:指定の範囲内に収まっているか(少なすぎ・多すぎに注意)
可能であれば、声に出して読んでみるのがおすすめです。読みにくい部分やつながりの悪い文は、音読するとすぐに気づけます。
よくある質問
Q. 感想文の題名(タイトル)はどうつければいい?
A. 「◯◯を読んで」でも問題ありませんが、印象に残ったテーマや自分の気づきを入れると目を引きます。例:「勇気は言葉から生まれる」「もし自分が主人公だったら」。本文を書き終えてから題名を考えると、内容に合ったものが付けられます。
Q. あらすじはどのくらい書いていい?
A. 全体の2〜3割までが目安です。感想文の主役はあくまで「あなたの感想」なので、あらすじは取り上げる場面が伝わる最小限にとどめ、残りを自分の考えや体験で埋めましょう。
Q. 文末は「です・ます」と「だ・である」どちらがいい?
A. どちらでも構いませんが、一つの文章の中で必ず統一してください。落ち着いた印象にしたいなら「だ・である」、やわらかい印象にしたいなら「です・ます」がおすすめです。
Q. 本を最後まで読む時間がないときは?
A. 理想は通読ですが、時間がない場合はまず「心が動いた場面」を1つ見つけることに集中しましょう。その場面を深く掘り下げれば、短くても中身のある感想文になります。あらすじの丸写しで枚数を埋めるのは避けてください。
Q. 書くことが思いつかないときはどうすれば?
A. 「もし自分が主人公だったらどうするか」「登場人物に手紙を書くなら何を伝えるか」「自分の経験と似ている場面はどこか」という3つの問いを自分に投げかけてみてください。答えを書き出すだけで感想文の材料になります。
Q. 原稿用紙の書き出しで気をつけることは?
A. 段落の最初は1マス空ける、題名・氏名は指定の行に書く、句読点や小さい「っ」「ゃ」なども1マス使う、行頭に句読点を置かない、という基本ルールを守りましょう。迷ったら学校の指定を優先してください。
参考資料
※字数・枚数の規定はコンクールの応募要項に基づく目安です。学校の宿題では別の指定がある場合があるため、必ず学校からの案内を確認してください。