年収 × 年間医療費の軽減額早見表
上のツールと同じ計算で、年収と年間医療費の組み合わせごとに戻ってくる金額の合計(確定申告後に振り込まれる所得税の還付 + 翌年6月からの住民税の軽減)を並べました。会社員(給与所得のみ・他の控除なし)を前提とした概算です。
| 年収 | 医療費10万円 | 15万円 | 20万円 | 30万円 | 50万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 200万円 | 5,550円 | 13,050円 | 20,550円 | 35,550円 | 65,550円 |
| 250万円 | 2,475円 | 9,975円 | 17,475円 | 32,475円 | 62,475円 |
| 300万円 | — | 7,500円 | 15,000円 | 30,000円 | 60,000円 |
| 400万円 | — | 7,500円 | 15,000円 | 30,000円 | 60,000円 |
| 500万円 | — | 10,000円 | 20,000円 | 40,000円 | 80,000円 |
| 700万円 | — | 15,000円 | 30,000円 | 60,000円 | 120,000円 |
| 1,000万円 | — | 16,500円 | 33,000円 | 66,000円 | 132,000円 |
読み取れることは3つあります。ひとつめは、医療費がちょうど10万円だと、年収300万円以上では1円も戻らないこと(「—」のマス)。ふたつめは、同じ医療費でも年収400万円と700万円で戻る額が2.0倍違うこと。みっつめは、年収300万円と400万円で金額が同じになることです。
年収300万円と400万円が同額になるのは、還付額が年収そのものではなく所得税率のブラケットで決まるためです。この2つはどちらも同じ5%の帯に入ります。本ツールは社会保険料控除などを考慮していないため、実際にはもう一段低い税率になる方もいます。
足切りは「10万円」と「所得の5%」のどちらになるか
医療費控除でよく「10万円を超えたら」と言われますが、正確な足切り額は「10万円」と「総所得金額等の5%」の小さいほうです。総所得が200万円未満の人は10万円より小さい額が基準になるので、医療費が10万円に届かなくても控除を受けられます。
| 年収 | 総所得金額等 | その5% | 足切り額 | 適用される基準 |
|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 760,000円 | 38,000円 | 38,000円 | 所得の5% |
| 200万円 | 1,260,000円 | 63,000円 | 63,000円 | 所得の5% |
| 250万円 | 1,670,000円 | 83,500円 | 83,500円 | 所得の5% |
| 290万円 | 1,950,000円 | 97,500円 | 97,500円 | 所得の5% |
| 297万円 | 1,999,000円 | 99,950円 | 99,950円 | 所得の5% |
| 298万円 | 2,006,000円 | 100,300円 | 100,000円 | 10万円 |
| 350万円 | 2,370,000円 | 118,500円 | 100,000円 | 10万円 |
| 500万円 | 3,560,000円 | 178,000円 | 100,000円 | 10万円 |
切り替わるのは年収297万円と298万円のあいだです。給与所得控除を引いた総所得がちょうど200万円になる地点で、それ以下なら「所得の5%」、それより上なら一律「10万円」になります。たとえば年収200万円の人は足切りが63,000円なので、医療費が10万円でも控除の対象になります。
「総所得金額等」は年収そのものではなく、年収から給与所得控除を引いた後の金額です。共働き世帯では所得が高いほうで申告すると税率が高いぶん還付額が増えますが、所得が200万円未満の家族がいる場合は、足切り額が下がる低いほうで申告したほうが有利になることもあります。どちらで申告するかは実際に両方の金額を出して比べてください。
対象になる費用・ならない費用
判断の軸は「治療のために必要だったか」です。同じ場所で払ったお金でも、予防や美容が目的なら対象外になります。
| 区分 | 対象になる | 対象にならない |
|---|---|---|
| 診療・治療 | 病院・歯科・整骨院で払った診療費や治療費 | 美容目的の整形、見た目のための歯列矯正 |
| 薬 | 医師の処方薬、治療のために買った市販の風邪薬・鎮痛剤 | 健康増進が目的のサプリメント・ビタミン剤・栄養ドリンク |
| 通院の交通費 | 電車・バスの運賃(付き添いが必要な場合は付添人の分も) | 自家用車のガソリン代・駐車場代、原則としてタクシー代 |
| 入院 | 入院費、入院中に病院が出す食事代 | 本人の希望で個室にしたときの差額ベッド代、パジャマ・洗面具 |
| 出産 | 妊婦健診・分娩費用、通院や入院のための交通費 | 里帰り出産のための帰省の旅費 |
| 検査 | 人間ドックで重大な病気が見つかり、そのまま治療に入った場合の費用 | 異常が見つからなかった人間ドック・健康診断、予防接種 |
| 施術 | 国家資格者によるはり・きゅう・あん摩マッサージ(治療目的) | 疲れをとる・体調を整える目的のマッサージ |
| 器具 | 医師の指示で購入した松葉づえ・義手・補聴器など | 近視のためのメガネ・コンタクトレンズ(日常生活用) |
人間ドックの扱いが分かれるのは、この「治療かどうか」の線引きがそのまま出ているためです。異常が見つからなければ予防なので対象外、異常が見つかってそのまま治療に入れば、その診断も治療の一部とみなされて対象になります。
高額療養費・出産育児一時金・入院給付金など、補填された金額は医療費から差し引いてから集計します。差し引くのは補填の対象になった医療費からだけで、他の医療費から引く必要はありません。上の表は代表例で、個別の支出が対象になるかどうかは国税庁の公表資料を確認するか、税務署・税理士にご相談ください。
使い方
- 年間の医療費合計(自己負担分・薬代・通院交通費など)を入力
- 年収を万円単位で入力(所得税率を自動計算します)
- 源泉徴収票で確認した所得税率がある場合は「手動設定」で変更可能
- 控除額・還付金・住民税軽減額が自動で試算されます
計算の仕組み
医療費控除の計算では「足切り額」を差し引いた金額が控除対象になります。
よくある質問
- 医療費控除とはどんな制度ですか?
- 1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた金額を所得から控除できる制度です。確定申告(またはセルフメディケーション税制)で申告することで、払いすぎた所得税の還付や翌年の住民税軽減が受けられます。
- 医療費控除の対象となる医療費はどんなものですか?
- 病院・歯科・整骨院などでの診療費・治療費、処方箋薬の購入費、入院費(食事代含む)、通院のための公共交通機関代などが対象です。一方、美容整形・健康診断・市販薬(一部除く)・通院のタクシー代(原則)などは対象外です。
- 医療費控除を受けるには何万円以上かかる必要がありますか?
- 「総所得金額等 × 5%」と「10万円」のいずれか少ない方が足切り額です。年収500万円の給与所得者は給与所得控除を引いた総所得が3,560,000円なので、その5%の178,000円 と 10万円を比べて、少ない100,000円が足切り額になります。つまり医療費が10万円を超えていれば控除対象です。一方、年収297万円以下(総所得200万円未満)なら所得の5%のほうが小さくなるため、10万円に届かない医療費でも控除が受けられます。
- 医療費控除でいくら戻りますか?
- 「医療費控除額 × 所得税率」が所得税還付額の目安です。年収500万円・医療費15万円の場合、控除額は15万 − 10万 = 50,000円、適用される所得税率は10%なので、所得税の還付は5,000円。さらに翌年の住民税が5,000円(控除額 × 10%)軽くなり、合計10,000円の効果です。医療費控除は「払った医療費が戻る」制度ではなく「超えた分に税率をかけた額だけ税金が軽くなる」制度なので、戻る金額は思ったより小さくなります。上の早見表で年収別の金額を確認できます。
- 家族の医療費も合算できますか?
- はい、生計を一にする配偶者や親族の医療費は合算できます。共働き夫婦の場合は、所得が高い方で申告した方が控除額の節税効果が大きくなります(所得税率が高いほど還付額が増えるため)。
- 医療費控除は確定申告が必要ですか?
- はい、医療費控除は年末調整では対応できないため、確定申告が必要です。申告期間は翌年2月16日〜3月15日ですが、還付申告の場合は翌年1月1日から5年間申告可能です。過去5年分を遡って申告することもできます。
- 領収書は保管が必要ですか?
- 2017年分以降は、医療費控除の明細書(医療費の領収書の内容を記入)を確定申告書に添付すれば、領収書の提出は原則不要になりました。ただし領収書は5年間自宅で保管する必要があります(税務署から提示を求められることがあります)。健康保険組合の「医療費通知書」を使う方法もあります。
- 住民税の軽減はいつ反映されますか?
- 所得税の還付は確定申告後1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれます。住民税の軽減は翌年6月から(次の住民税から)反映されます。住民税は前年の所得で計算されるため、確定申告した年の翌年に軽減が反映される仕組みです。
免責事項
本ツールの計算結果は目安であり、税務上の助言ではありません。所得税率は令和8年分(2026年分)の給与所得控除・基礎控除をもとに年収から自動計算しています。医療費控除額の上限は200万円です。医療費控除の対象になる支出の範囲は細かく定められており、美容目的の施術、健康増進のためのサプリメント、自家用車で通院した際のガソリン代などは原則として対象外です。セルフメディケーション税制とは選択制で、両方を同時に適用することはできません。対象可否の判断や申告方法については、国税庁の公表資料または税務署・税理士にご確認ください。