「日本人の食事摂取基準」とは
「日本人の食事摂取基準」は、厚生労働省が健康な人を対象に策定する、エネルギー・栄養素の摂取基準です。5年ごとに改定され、2025年版は令和7〜11年度に使用されます。
保健指導・給食管理・食品栄養表示・栄養学の教育など、幅広い場面で活用される公式基準です。個人の健康維持だけでなく、学校・病院・介護施設での献立づくりの根拠にもなっています。
塩分(食塩相当量)の目標量
2025年版の基準では、成人(18歳以上)の塩分目標量は以下のとおりです。
日本人の1日平均塩分摂取量は男性約10.9g・女性約9.3gで、目標量を男性約3.4g・女性約2.8g上回っている状況です。WHOが推奨する5g未満はさらに厳しい水準で、日本の目標はまだ控えめな設定と言えます。
調味料の塩分量(大さじ1あたり)
意外に感じるのは、薄口醤油が濃口より塩分が多い点です。色が薄い分、塩分を高めて保存性を保つ製法によるものです。関西風の料理で「薄口」を使うと、色は薄くても塩分はしっかり入ります。
糖類(砂糖)の位置づけ
2025年版の大きな改定ポイントは、糖類(単糖類・二糖類で糖アルコールでないもの)が「過剰摂取が国民の健康の保持増進に影響を与える栄養素」として新たに位置づけられたことです。これは砂糖・ぶどう糖・果糖などが対象になります。
具体的な数値目標は示されていませんが、WHOは遊離糖(砂糖・シロップ・果汁に含まれる糖)を総エネルギー摂取量の10%未満とすることを強く推奨しています。2,000kcal/日の食生活なら、遊離糖は50g未満が目安です。さらに5%未満(25g未満)が望ましいともされています。
日常食品の糖類量(目安)
コーラ500ml1本で、WHO推奨の1日の遊離糖上限を超えてしまいます。甘味飲料は水分補給のつもりでも糖質を大量に摂取してしまうため、日常的な水分補給は水やお茶が望ましいとされています。
減塩・減糖のコツ
旨味・酸味・香味を活用
だし(昆布・かつお・しいたけ)・レモン・酢・生姜・にんにく・ハーブで味付けの軸を増やす。塩味を減らしても満足感が保てる。
食卓での「追いかけ調味料」を控える
醤油・ソース・ドレッシングは食卓で足さない。小皿で量を決めて使う。
加工食品・外食の「隠れ塩分」に注意
ラーメンのスープを飲み干さない、サラダのドレッシングは別添えにする、コンビニ弁当は栄養表示をチェックする。
甘味飲料を水・お茶に切り替える
コーヒー・紅茶には砂糖を入れない/入れるなら少量から徐々に減らす。
カリウムを摂って塩分排出を促す
バナナ・ほうれん草・トマト・芋類など、カリウムを多く含む食品でナトリウム(塩)の排出を助ける。
塩分・糖分の過剰摂取が引き起こす健康リスク
- 塩分過多:高血圧・脳卒中・心疾患・慢性腎臓病・胃がんのリスク上昇
- 糖分過多:肥満・2型糖尿病・脂肪肝・虫歯・歯周病のリスク上昇
- 両方の過多:メタボリックシンドローム・動脈硬化など生活習慣病全般のリスク増
特に日本人は塩分摂取量が世界平均より多い傾向にあり、高血圧患者が成人の約3人に1人と高い水準です。減塩は国民的な健康課題として厚生労働省の「健康日本21」でも重点目標に位置づけられています。