なぜ飲酒後は眠くなるのか
アルコールには中枢神経抑制作用があります。脳の活動を抑えることで、不安や緊張を和らげ、リラックスした状態を作り出します。これが「お酒を飲むと眠くなる」理由です。
また、アルコールはアデノシンという睡眠誘発物質の分解を遅らせ、入眠を促進します。そのため「飲むと早く眠れる」という感覚は正確です。問題は眠れるかどうかではなく、眠りの質にあります。
アルコールがレム睡眠を妨げる
睡眠は「ノンレム睡眠(深い眠り)」と「レム睡眠(浅い眠り・夢を見る)」のサイクルを繰り返します。レム睡眠は記憶の定着・感情の整理・脳の回復に重要な役割を果たしています。
アルコールを飲んで眠ると、就寝後の前半はノンレム睡眠(深い眠り)が多くなりますが、後半にレム睡眠が著しく減少・分断されます。アルコールが体内で分解されるにつれて覚醒作用が生じ、夜中に目が覚めたり、眠りが浅くなったりします。
「飲んだ次の日、なんとなく頭がぼーっとする」「疲れが取れていない感じがする」のは、レム睡眠の不足が原因です。脳が十分に回復できていない状態で朝を迎えているのです。
アルコールが体から抜けるまでの時間
アルコールを体が分解する速度は個人差がありますが、一般的な目安は1時間あたり純アルコール量4〜5gです。
※分解時間は体重60kgの成人男性の目安です。女性・高齢者・アルコール分解酵素が少ない方はさらに時間がかかります。
就寝何時間前に飲酒をやめるべきか
睡眠の質を守るためには、就寝の3〜4時間前までに飲酒を終えることが推奨されています。アルコールが血中から十分に代謝されてから眠りにつくことで、レム睡眠への影響を軽減できます。
たとえばビール500ml缶1本の場合、分解に約4〜5時間かかります。深夜0時に就寝したい場合は、飲酒を夜7〜8時頃までに終えるのが理想です。飲む量が多いほど、より早く切り上げる必要があります。
なお、アルコールには利尿作用もあるため、飲酒後は夜中にトイレで目が覚めやすくなります。これも睡眠の分断の原因になります。就寝前には十分な水分補給をして、アルコールによる脱水を防ぐことも大切です。
「寝酒の習慣」が引き起こす問題
毎晩アルコールを飲まないと眠れない状態になると、アルコール依存症のリスクが高まります。身体がアルコールに対して耐性をつけるため、同じ量では眠れなくなり、飲む量がどんどん増えていく悪循環に陥ることがあります。
厚生労働省は、健康を維持するための飲酒量の目安として「節度ある適度な飲酒」を1日純アルコール量20g程度(ビール500ml・日本酒1合程度)としています。この量を超えないようにしながら、就寝前の飲酒は避けることが睡眠の質と健康維持に重要です。
良質な睡眠のための代替リラックス法
- 就寝1〜2時間前に38〜40℃のぬるめのお風呂に入る(体温が下がる過程で眠気が来る)
- カフェインを含む飲み物(コーヒー・緑茶)を就寝6時間前から控える
- スマートフォンやPCのブルーライトを就寝1時間前に避ける
- 深呼吸や軽いストレッチで副交感神経を優位にする
- 室温18〜22℃、湿度50〜60%の快適な寝室環境を整える